![]() ── 調査開始初日 ── written by wanko |
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地下駐車場での真澄様との密談後、渋谷の雑踏に紛れながら、私はどのように探りを入れていこうかと思いを巡らせた。彼女たちが真澄様の誕生日に照準を合わせていることは、まず間違いない。しかし、昨年の誕マス企画は準備期間わずか1ヶ月程度であった筈。今回はまだ半年以上も先の話である。この用意周到さは一体何を物語っているのか?前回あまりに過酷な状況に紫色の涙を流した者もいたという。その学習効果であるとも思えるが…。 ただ、彼女たちの性格を考えれば、それだけとは思えない。 何か───もっと深い、もっととてつもないことを考えているのではないだろうか?いったい、何をやらかすつもりなのか? (まずは、地道な作業から着手することにしましょう) そう思い立った私は、変装七変化収納トランク(注:常時携行)から、清掃員用コスチューム一式を取り出した。人相を隠す為の付け鼻とサングラスも忘れない。いや、この付け鼻は、ハッキリ言って、私の美意識としてはあまり使用したくないものではあるのだが、人目を憚る仕事の時にはやむを得まい。 どこからどう見ても立派な(ひどく怪しい)清掃員に化けた私は、彼女たちの会合の場としてよく使われる、とあるお店が入っているテナントビルのゴミ収集場所に潜り込んだ。 「今日、こちらでミーティングが行われたことまでは掴んだのだが…。残念ながら、盗聴マイクを仕掛ける程の時間はなかった。何か、手がかりとなりそうなメモでも、見つけることができれば良いのだが」 膨大な紙ゴミの中から、彼女達の会合の痕跡を探す。なかなかに根気のいる作業ではあるが、2時間程経過した頃、紙の切れ端に蘭のマークが印刷されたメモ用紙を発見した。 「ん!これは、○蘭様愛用のネタ帳!!ということは、何か手掛かりが書かれているかもしれない」 わずかな期待を抱きつつ、周辺からみつかった同じメモと思われる紙片を拾い集め、細かく破かれたそれらを合わせてみる。 「”花火”、”ワルツ”、…”幻想”、”ため息”…うむ、これらの単語は何なのだろう?」 「”アンドレ”と言えば…、オスカルか? (実は大のベルばらファン)」 残念ながら、他に解読できそうな文字はない。5つの単語に共通するものも特に思いつかない。 「仕方がないですね」 溜息をつきながら、私はひとりごちた。 今日はこれ以上の収穫はなさそうである。次回会合時には、万全の準備を整えて、核心に迫れるようにすることとしよう。5つの単語については、一応、真澄様に報告しておかねばなるまい。 † 本日の報告メール † 「”花火”、”ワルツ”、”幻想”、”ため息”、”アンドレ”…本日入手した単語です。何かのお題と思われますが、詳細は不明。調査続行致します。 3月XX日 聖犬」 08.10.2005 |
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