聖犬のコンサートレポート

  written by wanko  


story 2 : 開演










14:05 開演

皆様がお席につき、開演を今や遅しと待っております。
ドキドキドキドキ…、私の胸もうるさいほどに高鳴り、そして―――。

静かに入り口の扉が開き、杏子さんが現れました。
意表をついたラベンダーカラーの姫ドレスでのご登場です!
後ろに長く裾を引くデザインで、このまま、結婚式場で新郎を乗っ取っても、なんの違和感もございません。



は!これは、もしや…?
私の脳内において、0.3秒で展開される連想。
結婚式→ガーデンパーティ→天気雨

【振り向くと、薄紫色のシルクのドレスに身を包んだマヤが、真澄の木陰に逃げ込んで来たところだった。マヤはラベンダー色のドレスがよく似合う。黒髪に雨の粒が煌めいて眩しい。雨の音に包まれる。】(『雨ふりのあとで』―「story 1:天気雨」より)

こちらに描写されたドレスを再現されているのではないでしょうか!
非常に杏子さんらしい演出でございます。

そのまま、ピアノの前に座り、『めぐり逢い』の優しく、そしてどこか切ない音たちが放たれました。
会場内に広がり、そして参加者の心の中に瞬く間に浸透していく音たち…この感動を私のレポートでは、的確にお伝えできないのが、本当に残念でなりません。料理番組で、”この香り、テレビの前の皆様にはお届けできないのが残念です。いやぁ、美味しいですねぇ。皆様に召し上がって頂くことができないのが、本当に残念です”と言っているレポーターのような気分になってきます。

『めぐり逢い』を弾き終えたところで、杏子さんからのご挨拶です。



「皆様こんにちは、ようこそおいでくださいました。はじめまして杏子です。
はじめましてではない方は、おひさしぶりっこ♪ということで。
今日はこんな素敵な所でこうして本当にコンサートをさせていただく事ができて、本当に幸せで、もう菌無量…、あ、今日は菌とか言わないって誓ったのに。
あと胸がいっぱいいっぱい○っぱいとかもね、言わないって決めてたのに。お上品に 行こうって。もう言っちゃったけど。オレとしたことが……。
えっと、コンサートプログラムを決めた時から、一曲目は”めぐりあい”にしようと ずっと決めていました。
ガラパロにめぐりあわなければ、めぐりあえなかった人たち、生まれなかったパロ、存在しなかったジカキやエカキ、そして今日という日、すべては最初にあった”めぐりあい”のおかげで、今日こしてここにいる皆さんと”めぐりあえた”そういう想いを込めて、弾かせていただきました。個人的にもとても好きな曲です。
ついでに言えば、このめぐりあいをお題に書いてくださった咲蘭ちゃんの納菌も一番早かったんですよ〜。そんなわけでまずは「めぐりあい」から始めさせて頂きました」

その後、同じく、アンドレ・ギャニオンの作となる『雨ふりのあとで』と『風によせて』をお弾きになられました。

以下はコンサート後に、その曲を聴いた時の想いを、咲蘭さんにインタビューした内容でございます。

『何度もアルバムで聴いた曲でしたけれど、いざ目の前のピアノから奏でられると、迫る音や音に込められた想いが想像を遥かに超えて、全身を貫くようでした。雨の香りに包まれ、音の揺らぎに身を任せるほかない状態ですね。その瞬間生まれた音をその瞬間毎に感じる。その瞬間の後は、ただ余韻だけが残る。まさにライブの醍醐味と言えるかと…』

その後、杏子さんが一旦、退出されたのですが、何か問題でも発生したのでございましょうか?
しかし、司会の花音さんから祝電の披露が行われ、そのままコンサートは続行されております。

「本日はたくさんの皆様からお祝いの電報を頂戴しておりますのでご紹介致します。

”今日はその場に居られなくて、本当に残念です。今日ほど仕事を投げ出したいと思ったことはありません。 お集まりの皆さんにお会い出来ないのも、杏子さんの演奏を聴けないのも残念で仕方ありません。どうぞ、皆さんでお楽しみください。   速水真澄”

と言うことで、我らが愛しの社長より頂戴致しました」

おや?真澄様からの祝電ですか…、仕事で行かれないようなことをおっしゃってますが、怪しいものでございます。どこぞで、マヤ様へのストーカー振りを発揮されているのではないでしょうか…。

「もうひとつご紹介させて頂きます。

”真澄様が行けないということは、私も行けないということでして、まことに残念です。素晴らしいコンサートになりますことを、サングラスの中心を押さえながらお祈り申し上げます。”

水城冴子様より頂戴致しました。

また、お花とともにメッセージを頂いておりますので、こちらもご紹介致します。

”本日、こちらで、紫のバラの人のお誕生日お祝いが開催されると聞きました。いつも見守って頂くばかりのあたしですが、今日はお集まりの皆さんと一緒にお祝いをさせてください。
紫のバラの人、お誕生日おめでとうございます!日頃の感謝の気持ちを込めて… ”

と言うことで、女優の北島マヤさんからはこちらのメッセージとともに、受付に飾られたお花も頂戴しております。感謝の気持ちもよいのですが、”愛情を込めて”頂けると、紫のバラの人もとてもお喜びになられるでしょうね」

まったくもって、その通りでございます。真澄様が欲しているのは感謝の言葉などではないのです。早く、そのことにマヤ様が気がついて下さると良いのですが…。

「えー、実は、本日、鷹宮紫織様からも、非常に豪華な花輪をお贈り頂きましたが、こちらの会場のエレベーターに入り切りませんでした。誠に残念ではございましたが、丁重にお断り申し上げ、お引取り頂きました。この場をお借りしまして、深くお詫び致します」

…先程、外で見たあの鼻輪…ではなく花輪のことでございましょうか…。



紫織様には、今回のプロジェクトが漏れないようにと、最善の注意を払っていたのですが、やはり、嗅ぎつけられましたか…。まぁ、会場に押しかけられなかったのは、幸いでございます。


電報読み上げが終了し、杏子さんが再びご登場されました。
入り口からピアノに向かうその後姿に軽いドヨメキが発生しております。



なんと、お衣装替えをされていたのですね。
これが、かの有名な「ボンっ!レスっ!ハムっ!ドレス!」



美しいお背中がたっぷりと堪能できるドレスとなっております。
実は、私、聖(犬)とのインタビューの際にお召しになっていた菌…いえ、金ラメドレスのエロ違い…いえ、色違いバージョンでございます。

会場のどよめきに応えて、杏子さんがマイクを持たれました。

「あら、なんで笑いが起こったのかしら。なんでかしら。
私、分からないわぁ。ぜんぜん分からない。何か想定外なことでもあったんでしょうかねぇ。あ、これ?おエロ気直しです♪って、普段着なんですけどねぇ〜。えへへへへへ」

サックリかましてピアノに向かう杏子さん。
そうですか、そうですか、普段着ですか。確かにインタビューにも着てきたぐらいですからね……。もう、何も言いますまい。

そして、次の曲は『子犬のワルツ』 そうです!私、聖犬のテーマ曲にございます!!
えぇ、この曲に合わせて、本日までの日々、あちらやこちらの舞台裏をのた打ち回りながら、走り回っておりました。本日、こうして、無事にこの曲を聴くことができ、もう何も思い残すことはありません! このまま息絶えても本望です。
…と言うか、コンサートレポートのことを考えると、このまま、安らかに逝ってしまいたい気持ちで一杯です。 (メンバーへ:もし、この後、私に何かありましたら、どうか、私の遺志を引き継いで、レポートの完成を宜しくお願い致します。)

『子犬のワルツ』が終了し、ボンレスハムドレスの杏子さんのトークタイムでございます。

「今日はショパンを3曲弾かせて頂きますが、子犬のワルツはもう最初っからwankoちゃんのために♪と決めてありました。ワルツは私の一番好きなワルツを選んびました。幻想即興曲は、実は初めて弾く曲なんです。上手くいくんでしょうか〜」

と言ったコメントともに、ショパンについてのご紹介等が入りました。

そして、『ワルツ第14番ホ短調 遺作』、『幻想即興曲』を演奏。
いずれも、お題となったパロを心に描き、杏子さんが奏でる調べに身を任せながら、聴き入りました。
ショパンの余韻を残し、杏子さんが退出されました。
まさか、又しても、おエロ気直しをされるのでしょうか?
いえ、あれ以上、エロ気を出されると、この聖、目のやり場もないのですが…。


「えー、それでは、祝電のご紹介の方を続けさせて頂きます。

”本日のコンサート誠におめでとう。何でも飛び切りのキレイどころが、速水の若ダンナの誕生日を祝って集まっているそうですな。まったく羨ましいもんだ。今日は北島の稽古も休みにしてやったよ、若ダンナへの俺の誕生日プレゼントってやつだ。ま、二人で仲良くやってくれ。みなさんのコンサートの成功を祈っております。”

黒沼先生からの電報でございました。
あともう一通、ご紹介しましょうか…、あ、もう杏子嬢のスタンバイ完了したのですね。それでは、申し訳ないですが、内容割愛させて頂きます。送り主は桜小路YOUさんでした〜♪」

そして、杏子さんの再々登場。
やはり、ドレスを替えられてますね。
はっ!これは!もしや…!
またしても、0.3秒で私の中のパロファイルにサーチをかけます。

【「その衣装だったらな。花ぐらいなってもらわないとDiorが泣く」
漆黒のベルヴェットのドレスはアメリカンスリーブのデザインが肩をとても華奢に見せる。首の後ろで留めるデザインのため、とても綺麗に背中が開いていて胸元が開くドレスよりマヤはずっと好きだった。とてもシンプルなラインだが、前身頃にはスワロフスキーのラインストーンが左の腹部から放射状に花火の模様のように散りばめられ、歩くたびにライトにあたってキラキラと輝く。】(『東京落下流花』―「story 1:二人の私」より)

こちらのディオールのドレスに間違いございません!





このドレスをお召しになる為に、この描写をわざわざ入れたのでございましょう。場内のお客様にも、この杏子さんの演出に気がつかれた方がいらっしゃるようです。

そして、ドビュッシー作の『アラベスク』の演奏が行われ、その後、ディオール杏子のトークタイムでございます。

「 ドビュッシーのアラベスクは、私が生まれて初めて弾いたドビュッシーの作品なんですけど、子供だっただけに『こんな綺麗な曲がこの世にあるんだ〜』とすごく感動したんですよね。初めて聴いた時の感動をいつも誰かに伝えられたらなぁと思って、よくコンサートで弾きます。そしてこれからお届けするのが花火。もうね、あっちこっちで花火については語りまくっているので、もう耳にタコもイカもぶら下がってるでしょ?ごめんなさいね〜。
とにかくですね、この曲に出会ってなければ、ありえなかったこと、起こらなかったこと、本当に沢山ありすぎて、私にとっては一生切り離しては考えられない曲で、何度弾いてもいつも発見があって、とても大切な曲です。聴いてください 」

さすがは、「私がコンサートで必ず弾く、私にとって絶対なくてはならない曲」と杏子さんが豪語する曲でございます。圧倒的な迫力を持つ『花火』の演奏に、私も金縛りにあったように瞬きひとつもできない状況でした。 えぇ、今なら、非常に難しい人形役をこなすことも可能でしょう。

おや、又しても、杏子さんが退出されます。
そうですよね…、まだ、あのドレスを着て頂いておりません。
私が独占インタビューの時に、酷い目に合わされて、せしめられたドレスを…。

「さて、先ほどから断りもなくクルクル衣装替えに忙しい杏子嬢ですが、いよいよ次がラストです。間違いなくまた着替えてくるでしょうね。ちょうどいいので、杏子嬢のコスプレあてクイズでもやりましょうか。さて次のドレスはどういったものになるでしょうか?
1)聖犬とのインタビューに着てきた金の総ラメイブニング
2)大本命!!マスに買わせたディープパープルのセクシードレス
3)何を血迷ったか純白ウェディングドレス
4)マスのプレゼント間に合わず、の全裸
これは非常に難しい質問ですねぇ〜」

…私の希望としましては、4番でございますが…、真澄様から贈られたドレスを着ないということはないでしょう。

「それでは、正解はあちらでございます」

と、花音さんが入り口の扉を指し示し、再々々登場の杏子さん!
やはり、2番のディープパープルのセクシードレスをお召しになっております。



本当にこの日のネタの為に、いったい、何着のドレスを入手したのでございましょうか!
聖犬インタビューで「アタシ、コンサートで着るドレスがないのよねえ」とおっしゃっていたのは、どこのどいつなのでありましょうか?
そんな私の気持ちにお構いナシに、杏子さんのトークが始まりました。

「なんか完全にコスプレになってきてしまいましたね。
さておき、お手元のプログラム、すでにご覧いただけました?曲目解説、とっても力作でしょ?ほとんど咲蘭ちゃんが書いてくださったんですけど、ちょっとBalladeのところ、読んでみてくださいよ、凄いんですよ。 『哀愁漂うジャジーなスローナンバーのこの曲は、恋をすることと夢見ることが憂いなく同義語だった子どもには決して味わえない大人の情感が溢れています。』どうです?凄くないですか?『恋をすることと夢見ることが憂いなく同義語だった子どもには決して味わえない大人の情感』ですよっ!!これだけで軽く1パロぐらいありますよねぇ」

場内笑いが漏れます。

「これは私の東京ナントカってお話…、やぁねぇ、タイトル忘れたわけじゃありませんよ。東京落下流花でしょ。言うのがちょっと恥ずかしかったのよぉ。その第二話のBarで流れてるって設定です。そんなことを想像して聴いていただけたら嬉しいです」

続いて『Summer』を演奏。 久石譲氏の曲はいずれも、映画の挿入歌などになっており、クラシックよりも馴染みがあるかもしれません。参加者の方々もコンサート始まりの頃の緊張も解けて、非常にゆったりと、リラックスされた状態で楽しまれているようでございます。

そしていよいよ最後の1曲です。再び杏子さんがマイクを持つようです。

「最後の一曲になっちゃいましたね。あっという間でしたねぇ。私も余計なことをイロエロやっていたのでほんとにあっという間でした。ほんとはね、普通はね、着替えたりとかってありえないんですよ〜。しかも4着!ありえません。うん、でも楽しかった♪」

余裕の笑みです。さすがです。

「さて最後の一曲になるこの『HANA-BI』という曲は実は、サイトのプログラムには載っていない曲なんですけれど、この久石譲さんのアルバムを聴きながら東京落下流花を書いていたら、タイトルの偶然も手伝ってこの『HANA-BI』こそ、このパロのメインテーマだなぁとどうしても弾きたくなってしまったんです。というわけでそんな私のワガママで最後にこれを弾かせて頂きます。」

こうして、予定曲目全て終了後、大きな拍手の中、杏子さんは退出致しました。



しかし、鳴り止まぬ拍手にお応えして、再々々々(←数合ってるでしょうか?)登場!
いえ、今回はおエロ気直しはございません。

「今日は皆さん、本当にありがとうございました。
新幹線は当たり前、一番遠い方は陸地ではつながっていない所から、飛行機で泊りがけで来て下さってるんですよ〜。凄いですよね、パロって……。
このためにお金や時間をかけて、お仕事をお休みしてまでいらして下さった方もいらっしゃって本当に感謝してます。
ESCAPERのみんなもね、本当に楽しかったんですけど、本当に大変だったんです。イロエロ。締め切り間に合わない、とか裏方の作業とかね、リアルをいっぱい犠牲にしてこのコンサートを作ってくれて、本当に私、感謝しています。そんな感謝の気持ちを込めて、この曲を最後にESCAPER全員から、今日ここにいらっしゃる皆さんに贈りたいと思います。シューマン作曲、トロイメライ」

本日のコンサートでこれを弾かぬワケにはいきません!
「いまはこれしか弾けない…」(単行本24巻 姫川邸にて)のトロイメライでございます!今回の企画のタイトルとしました”Traumerei ”でございます!

本日、お集まりの皆様も、この曲に対する思い入れはヒトシオでございましょう。
優しく、温かなものに包まれて、泣けてくるようなこの想い、夢のようなこのひと時…コンサートの感動も最高潮となりました。

以下は、その時の杏子さんのお気持ちについて、後日インタビューをした内容です。

『トロイメライを弾いてるとき、高揚しきっていた感情と緊張しきっていた体がすーーっと縫い糸が抜かれるように解けていったのを思い出します。ああいう気持ちになることは、本当に珍しいと思いました』

杏子さんにとっても、そして参加された皆様にとっても、貴重な、得難い体験だったようでございます。


演奏終了後に、参加者の皆様から次々と杏子さんに手渡される花、花、花!






なぜここに青薔薇が…。くすっ♪






そして、お花に添えられたカード!


みっ…見られてるのねっ(青筋)!…なんて。
たくさんの心のこもった薔薇をありがとうございました!


生まれては、消えてゆく音たち―けれども、参加者全員の胸に、”消えない何か”を残していったことと、私は確信致します!





11.08.2005




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