![]() † to 咲蘭 † written by wanko |
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10月10日 都内某所−閑静な住宅街にある隠れ家的バー ふぅ…、先日の子リスさんのインタビューでは、この聖(犬)、大失態をおかしてしまいました。 すっかり、酔い潰れて、子リスさんに介抱して頂くことになるとは…。こんなことが真澄様のお耳に入ったら、酷いお叱りを受けてしまうことでしょう。本日はその様なことのないように、しっかりとご接待申し上げねば…。 『カランカラン』 私が先日のインタビューの反省に思いを巡らせていると、入り口のドアベルが鳴り、その女性が現れた。 「咲蘭さん、こちらでございます」 カウンターに座っていた私は、すぐさま立ち上がり、軽く右手を上げる。 こちらを確認して、気品溢れる微笑を浮かべた彼女の元まで歩み寄り、マスターに目配せをして、カウンターではなく、奥の二人用テーブルに移動した。 「すみません、お待たせしちゃいました?」 「いえ、時間通りでございますよ。それよりも、道の方、迷ったりはされませんでしたか?少々わかりづらい場所にありますので」 「地図を頂いていたので、大丈夫です。…それよりも」 と言いながら、咲蘭さんは店の中をぐるりと見回した。 「とても素敵なお店ですねぇ」 大きな1枚板のカウンターが印象的な店の内部は、品よく配置されたアンティーク家具が心地よい空間を演出している。カウンターの中には齢60位であろうマスターが柔和な笑みを浮かべ、黙々と仕事をしている。その背後には眩いばかりのカクテルグラスが収納されていた。 「えぇ、数少ない私の行きつけのお店です。どうしても職業柄、あまり馴染みの客になってしまう訳にも行かないので…。こちらは程よい空間と客層、マスターの人柄に惚れて通っている私の隠れ家的な場所なのです」 「光栄です!聖さんの秘密の隠れ家にご招待頂けるなんて!」 「それはもう、今回の”トロイメライ”企画ではお話、イラストだけではなく、サイト構築のほとんども請け負っての大車輪のご活躍、この聖、影ながら見守らせて頂きました。作品公開の日程もようやく1/3を過ぎたところではございますが、この辺りで一度、諸々のお疲れを癒して頂きたいと思っております」 タイミングを見計らっていたかのように、マスターが現れて、2つのグラスをテーブルに置いた。 「一杯目は私からの気持ちとさせてください。オリジナルカクテル”オーキッド”を作らせて頂きました。白ワインベースとなっておりまして、程よい口当たりが楽しめるかと思います。どうぞ、ごゆっくりとお寛ぎください」 それだけ言うと、こちらが礼を言う前に、又、カウンターの中に戻ってしまった。 華奢なフルート型シャンパングラス。その中に満たされた液体は、グラスの底側は透明で、そこから徐々にグラデーションを成し、一番上は深い紫色となっている。グラスのふちに飾られた白いデンファレと見事な対比を見せていた。咲蘭さんは、しばし見惚れているようだ。 「まずは、乾杯致しましょう。『めぐりあい』の無事脱稿と本日のアップに…」 「えぇ、乾杯」 お互いのグラスをカチリと合わせて、私達は一口ずつ、アルコールと言う名の媚薬を口にした…。 ”よし、ここまでは完璧!まだ、粗相はございませんね” 私は心の中でガッツポーズを作る。 「では、早速、お話を伺わせてください。咲蘭さんは楽曲が決定する前から”雨”というモチーフで書きたいとおっしゃっていたようですが…」 「えぇ、そうですね。以前から”雨”と言う題材には興味があって、書いてみたかったんです。なので、最初から杏子ちゃんには、”雨”をテーマにした楽曲を入れて欲しいとお願いしてました。『雨ふりのあとで』が候補に挙がってから、すぐにアンドレ・ギャニオンのCDを購入して、その物語を内包したようなメロディのすっかり虜になってしまって…」 「ですが、いつの間にやら、『めぐりあい』の方が先に完成しておりましたので驚きました。その辺りの経緯を伺っても宜しいですか?」 「最初、予定通り『雨ふりのあとで』を10行ほど書き始めたのですが、プレオープンに向けてのサイト構築作業を優先して、『雨』はそのまま放置してました。その後、お土産本の作品を仕上げてから、さぁ、次はサイト作品…と思った時にあるきっかけがありまして…」 「きっかけ?」 「えぇ、いつもの様に夕食の買い物に行った時、ふと雑踏の中で懐かしい香りに出逢ったのです。振り向いた時には、もう誰の香りかもわかりませんでしたけど」 「あぁ、それが、ANTAEUSですか…?」 「…香りって、頭で記憶するものじゃなくて、体で記憶するものだと思いませんか?そして、その香りに出逢った瞬間に全く別の場所に飛ばされてしまうというような…そんな力があると思うんです」 「わかるような気が致します」 「で、別の場所にきっちり飛ばされながらも、買い物かごにキュウリやらプチトマトやら大根やら入れていたら、『めぐりあい』の冒頭の文章が落ちてきたという…。スーパーマーケットでネタを購入…ってところでしょうか」 「なるほど!新鮮なネタが手に入ったという訳ですね」 「ええ、赤札大安売りでしたワ。…でも、『めぐりあい』というお題とどう絡めればいいのか…と言う感じで…。そしたら、あるネタが降る夜、「紫のバラの人としてではなく、ひとりの男として出会いたかった」というマスの台詞がご光臨。あとはもう、『雨ふりのあとで』は、とりあえず凍結して、こちらを一気に書き上げました」 ”フム、なかなかインタビューっぽく、進んでいるんじゃないですか?” 心の中で悦に入る私。更にインタビューを続ける。 「今回、お題を見事に活かしながら、更に原作との絡め方もまた絶妙で、2話のパックが出てくるシーンが、私大好きでございます」 「あ、嬉しいですねぇ。原作と微妙に絡めるのが好きなんです。んで、演劇という根っこをしっかり持っているマヤちゃんが好きで、恋愛ごとでフラフラしながらも演技することによって自分を保てるという感じにしたかったんです」 「又、真澄様は自分が招いた全てのことへの責任を取ることを決意し、2年間姿を消す…ここに男の美学を感じました」 「美学っちゅうか、逆に無責任…ゲフゲフッ…… 」 「だっ…大丈夫ですか?話を続けますよ。そして、非常に嬉しかったのは、今回、私にとても重要な役どころを任せて頂けたことです。このような形で真澄様にお誕生日のお祝いを差し上げることができるとは思っておりませんでしたので…」 「そりゃ、そうよ!私は原作でもあの二人をなんとかしてくれるのは、アナタしかいないって期待してるっつーのに、それなのに!なんなの?アノ42巻のアナタのヘタレっぷりは!情けないっ!!聖君!!アタシは情けないっ!!うぅぅぅ」 ”おや?おやおや?なんだか雲行きが怪しくなってきましたね” どうしたのでしょう。咲蘭さん、先程までとは口調も違ってきているような…。 目元がほんのりと紅く染まっているような? そこに、新しいカクテルグラスを運んでくるマスター。私は思わず、小声で確認してみました。 「咲蘭さんのカクテル、何杯目でしたでしょうか?」 「えぇ、それが、もうこれで7杯目でして…」 「7杯目(驚愕)!!いつの間にそんな…」 「飲み口はいいのですが、結構、強めのカクテルなのです。お連れ様、大丈夫でしょうか?」 いえ、どう見ても大丈夫ではないでしょう。 目の前の咲蘭さん…あぁ、しっかり、はっきり、くっきり、目が据わってますね…。 完璧にイッちゃってますよね…。 「おいっ!聖(犬)!!人の話を聞いてんの?え?」 「あ、はいっ!勿論、聞いておりますとも!」 「だいたい、マスもさぁ、それ以外の事に関しては一分の隙もなく完璧で、切れ者なくせに、マヤが絡んでくると途端に脳内マヤマヤ状態になってしまうっつーのは、いったいどういうことなのさ?いや、好きよ!そういうマスが一番好き!マヤマヤしてないマスなんて、マスじゃないし!!でも、とりあえず、そこは飛び込めよ!」 「は?」 ”あぁ、42巻の桜小路に出し抜かれて海に飛び込まなかったシーンのことですね。どうしましょう…。完璧に酔ってしまわれたようで…。なにか素面に戻る話題を振らねば…” 「と、と、ところで、咲蘭さん、『雨ふりのあとで』の執筆状況はいかがでしょうか?」 「雨が降り止まないわよっ!ずーっと降り続いてるわよっ!ぜんっぜんっ止んでくんないのよぉぉ…。雨ふりのあとまで行かないのよぉぉ!! 」 「さ、さようでございますか。え、えーと、『story 5:霧雨』の辺りでしょうかね?」 「まだ、豪雨よ!!豪雨っ!!ザーザー降り続いてるわよぉ…もう、マスも私も濡れネズミよぉ…」 「い、いやぁ、サブタイトルを見るだけでも、色々と妄想が回って非常に楽しみでございます。咲蘭さん、止まない雨はございません!連夜の更新作業と並行しての執筆作業、本当に大変だと思いますが、お体に気をつけて頑張って下さいね」 「聖、アンタも頑張んのよ!まだ、6人分のインタビューが控えてるんだから!」 「…はい、その通りでございます。雨上がりの青空を目指して、ともに頑張りましょう! それでは、最後に、咲蘭さんの肉声をもうすぐお誕生日を迎える真澄様にお届けしたいと思います。こちらのマイクに向かって、思いのたけを叫んでください。 …あ、いえ、そんなにマイクに近づかなくても…」 「ピーッ★ザッー□#ェー●ぁ$あっ…」 「咲蘭さん、もう少しボリュームを下げて下さいませ…それでは、聞き取れません」 「マスぅ。マヤちゃんに飽きたら、たまには私とも遊んでねぇぇぇ!! おめでと〜〜!!おめでと〜〜!!」 「…ゼーハー、ゼーハー………咲蘭さん、ありがとうございました……。さぁ、今夜はもう、この聖に全て任せて、どうぞお気のすむまでお飲み下さいませ。とことん、お付き合い致します」 …またしても、狂乱の一夜は更けてゆくのであった。 10.10.2005 |
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