■■ お題 8: 広がる笑みと、零れる想い。 ■■
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北島マヤが毛布を被って眠るのは、小さな頃からの癖で、そうやって包まれて眠ると安心して熟睡できるからだった。 たとえば、誰かに追いかけられてみたり、大きな声で何かを責められたり、そんな怖い夢を見て、ふいに泣きたくなっても、自分を包む毛布を握り締めることで逃げ切れたりしたのだった。 ばさり。 だから、こんな風にとつぜん毛布を剥がされたりすると、寝ぼけた頭がパニックを起こしてしまうのだ。 「うっ……!!!うぅ〜〜っ!?」 浮き輪を失くした子供のような心地で右手を伸ばすけれど、何も掴めない。目蓋の向こうに白い朝日を感じて、ようやくマヤは薄目を開ける。 「おはよう」 |
朝日を背中に受けつつ爽やかな笑顔をみせるのは、速水真澄。 「………はやみ…さん…?」 えーーーと…。 寝ぼけた頭で必死に考える。 たしか、今日の仕事は夕方からしか入っていなかったハズ。今日は、ひさびさに目覚まし時計をセットせずに存分に朝寝ができる日ではなかったか。 う〜〜……も〜〜〜……。 「おれは普通に朝から出勤なんだ。このまま顔を見ずに別れてしまうのが忍びなかったんでね」 涼しい顔してしゃあしゃあと言う。 別れるって言ったって、一緒に暮らしているのに。 「このまま別れたら、あと15時間は顔が見られない」 それはそうかもしれないけれど。 ぶっくっく……。 あまりにも子供じみている真澄の言い分に、マヤは思わず真澄から毛布を奪って笑い転げる。 あはははは。 もしもこんなことを真澄以外の人間にされたら、それこそ寝ぼけ頭のまま怒り狂うかもしれない。まったく、どうしようもない。こんなとんでもない仕打ちすら、おかしくて、かわいくて、笑ってしまうのだから。 「おはよう、速水さん。今日も速水さんのことが大好きよ」 06.06.2006(graffiti転載) 私はこよなく朝寝を愛しているので、こんなことされたら、怒り狂います。たぶん、相手が誰であろうとも(笑)。 でも、恋人にはちょっとワガママ言ってもらいたいし。言いたいし。お互いに甘えるっていうのも恋人ならではかな、と。 いつもに増して落書き挿絵で、あまりに雑ですみません(^-^;; |
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